本当の価値?

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とある助成金事業で・・・

 医療業界を巻き込んで、マイナンバーカードの普及を図ろうと期限を決め打ちして、期限内までにマイナンバーカード対応のシステム導入手を挙げた(申請した)者には助成金を出すとの告知が為され、あちらこちらで医療機関も回線業者もIT機器物販業者もシステム構築業者もバタバタと動き回っている様です。

 一方で推進する行政の会議で、「約40万円の全額助成金で全て揃う筈が、事例として実際にある医療機関に提示された見積が、機器等費用:約78万円、設定作業費用約20万円で合計約98万円円から38万円の値引きのような設定作業費に20万円も掛かるものが40万円近い値引きは不明」と指摘され、巷でも単に金額だけが独り歩きして25万円の見積なら安い=良い業者、50万円なら高過ぎる=ぼったくり業者みたいな言われ方もされております。

 しかしX線装置の様な軽く1,000万円を越える定価が付いている機器であっても、その企業の年度末には作り溜めした商品を一気に売り払って処分したいが為に、営業が半値近い見積を提示することもあります。 流石に今は無くなったとは思いますが、大企業が公共事業入札で実際には億単位のシステムに5円で入札したなんていうことも記憶に留めておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか? それはそれで理由が有り、例え5円しか構築時に入金しなくても、その後の保守で台数分掛けたら毎年数千万円にもなるのであればそれでペイする。 或いは日本固有の・・・「親組織がどこそこのシステムを入れたからうちも合せて同じところを・・・」とか、逆に下位組織が同じ会社のシステムを導入しなくてはならなくなったりと、波及効果まで見込んでの5円入札かもしれません。

 先に述べた事例でも物販利益も有る会社さんであれば、利益率3割として23万円近い利益が物販で上がるので、その後の保守も考え、導入の作業費は5万円で良しとしたのかもしれません。 その辺りは今の社会で当り前の様になっている「初期費0円!」とか「無料!」とか、あるいはアナログ電話も廃止になりひかり電話に移行する様ですが、あたかも今のアナログ電話よりも安くなるように金額を見せ、実際には欄外に小さな文字で「利用にあたっては光回線のご契約が別途必要です」と書かれていたりもする様に、いかに安く見せて仕事を取り、後で回収するモデルというだけの話の様な気もします。

 最たるは原発による電気代が良い事例ではないでしょうか? 原発を作り、使用済み核燃料を安全に処分し、最後原発を廃炉するまでの総費用から算出して「圧倒的に安いエネルギー」とされている訳では無く、一部の費用だけを取り出して発電量で割っているだけで、結果総費用が膨れ上がろうとも後日、利用者である国民に全てチャージすれば済んでしまう仕組みが出来上がってますし、10年経過したから東北沖地震の被災者への様々な支援は収束しながらも原発被害の復旧に掛かる費用が見えないので、全国民にチャージした復興支援納税は継続したままではないでしょうか?

 まさに、親が背中を見せれば子が真似るではないですが、どっちもどっちの様な気もします。

実際の中身は?

 弊社で関わった事例でも、狭い診療所と比較的受付がゆったり取れる広い診療所とでは用意する環境が異なります。

 狭ければPC本体を置く場所にも日々の運用に邪魔にならない様な工夫が必要でしょうし、ディスプレイもそのままでは置けないですからモニタアームで宙に浮かしてあげる必要も出てきます。 当然その差は、機材の数・費用や作業費(既存棚・机等の加工も時には発生)にも出る場合も有ります。

 またそのPC本体用のキーボードやマウスを置ければ良いですが、そのスペースも受付に無ければ、CPU切替器を設置して既存のマウスやキーボードが流用出来る様にしてあげなければ、日々のお仕事にも支障が出ます。CPU切替器もご自宅で遊びで使う様な物で良ければ数千円で調達出来ますが、仕事環境で使う信頼性が有り、しっかりしたものを・・・となると数万円前後します。

 更に屋内配線も、受付にインターネットの光回線が引き込まれている診療所では特に大きな工事は必要としませんが、受付とインターネット回線の引き込み場所が離れている場合には、屋根裏等を通したり、新たに配線ルートを確保しなくてはならなかったりと、これだけで0円なのか、数十万円になるのかの差になります。

 では、「既存環境で屋内配線に数十万円も掛かるなら、新規に受付に光回線を引いてしまえば良いのでは?」と考えられる方もいるでしょうけれど、助成金で賄えるのは初期工事代のみ。 新たに光回線費が月々掛かればそれだけで月額5千円前後。 年額で6万円。 10年で60万円。 その費用は単純に診療所の負担増につながります。

 また光回線は道路下の配管を通っていたり、電柱経由ですから、道路に面した比較的直接引き込みやすい場所に受付が有れば良いですが、大きな建物の奥まった処にあればそれはそれで作業も大変になりますし、人出作業=人件費ですから、それなりの金額は掛かる様になります。

 こうした実際の諸事情に合わせた機材や材料、設置に当たって許される日時(時には夜間?)や人手の数などによって金額は大幅に変わるのは当然かとは思いますが、そうした実情を一切語られず、金額だけが会話に上り、「高い!」だの「他の方が安い!」だのと言われると少々作業員含めモチベーションが下がるのは事実です。

長年のお付き合いで信頼頂いている先生からのSOSに対する弊社の仕事

 今回の行政からの通達に際し、

  • 何よりも混雑している受付での混乱(マイナンバーカードが保険証の代わりになる筈なのになぜ使えない?・・・というクレーム等)を避けたい。
  • 患者さんが全て覚えてはいない薬歴による禁止薬投与等の医療事故は絶対に避けたい。

という院長先生の思いから弊社にSOSが掛かり、一応弊社からは「今回の行政の動きに最初から共同して動いている大手さんに頼んだ方が早く、安く、確実に済む」というご提案をさせて頂きました。

 しかし先生からは、移転時の工務から電子カルテシステム(ダイナミクス)の構築・日々の運用サポート、レセプトオンラインやインターネット環境にIP電話などからその他医療機器の連携や日々の運営上でのお困りごとの相談などを一手に任せて頂いてきた弊社にどうしても関わって欲しいとのご要望を頂き、多少の試行錯誤が出て例え助成金で全て賄えなくても良いとまで仰って頂き、お引き受けすることに致しました。

 既にこの関連で、行政が指定した特殊O/SであるWindows10 LTSCを搭載したPCの販売をしないかと持ちかけられたりもしましたが、Microsoftとしてもあくまでも特殊扱い。ユーザーがそこでExcelやWordを使いたいと思ってもサポートはされません。 またO/S単品で入手出来るものでもないですから、電子カルテやInternet端末等の環境下で別扱いになる機器となります。
 レセプトオンラインではこうした仕様の縛りはなく、手持ちのPC等を流用したり、障害発生時には他のPC等で設定すれば代用出来たものを何故こんな仕様にしたのかは不明です。 これを機に統一した端末を全医療機関に設置導入させて院内・電子カルテシステムとも直結させて、医療費削減の為に全て行政管轄下に置きたいという意図が有るのかもしれませんが・・・。

 いずれにしても万が一の事故が起きた場合には、この仕様を強制した行政側は一切の責任を取らず、あくまでもシステム導入を決断した医療機関の長が責任を負う羽目になりますので、電子カルテシステムの環境とは物理的に接続しないことを先生にはご提案させて頂きました。(物理的に銅線が繋がっていなければ、外部からのアタックもウィルスも侵入しようもなく、感染した電子カルテシステム側からInternet側に情報が流れだすことも無いですから)

 更に薬歴が見られる場合には診察中に確認したいとのことでしたので、既に使わなくなっているシャウカステンを撤去し、その台座を流用/追加工事して確認用モニタを据え付けさせて頂きました。

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(シャウカステン撤去) (採寸/小物(押え・受け棚)制作)

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(設置)

 またPCを設置する場所も、電子カルテ端末並びにInternet端末本体設置時にお作りした清掃時に簡易に移動出来るようなキャスター付きプレートも、もう一台乗せられる様に板のみを再制作し、交換させて頂きました。

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 大都会は地価も高く、家賃も高いですから無駄なスペースを生じさせる訳にはいきませんし、狭い診療所でも工夫してあげれば清掃も楽ですし、障害対応時にも作業効率が高いので短時間での復旧が図れます。

 元々の概算見積には入れておりませんでしたが、実際に現地に入らせて気付けば言われなくても少しでも良い環境にするのが弊社のアウトプットと心掛けております。 また例え先生がその対価を払うと言われても、助成金申請した際には行政側はそうした現場の些細な日常の工夫が患者様の快適性を維持し、先生の診療行為を楽にし、診療所の清潔性を保つためには重要だとしても理解しないでしょうから・・・。

 また例え商売と言えども、効率やITやAIが叫ばれようとも、人と人の信頼関係やお互いの相手に対する心遣いは欠かせないものだと思っております。