既製品の組み合わせでは無駄も多い

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選択肢が広がる流通汎用品

 今の時代、大手量販店が自ら商品開発に力を入れ、一方では100均ショップも大きな商品まで取り扱い、ネットショップで気軽に安価な物が入手出来る時代です。

 大量生産、大量流通による薄利多売。 一見消費者にとってはありがたい話ですが、当然流通コスト含めて0円にはなりませんから、その分、如何に見た目良くて材料原価を抑えて安く作るかが勝負となります。 また、差別化も重要なポイントですから、他社にないものを…ということから、様々な形状、材質、工夫を凝らしたものが安価に出回っている時代となりました。

 最もコストが高いのは人件費ですから、一時は中国へ生産拠点を移したり、現地生産委託したりしておりましたが、中国の人件費高騰からベトナムその他へ…とますます国内空洞化し、日本の製造力低下や、技術力の低下を招いている現状がその陰にあることは否めません。

「安い」の裏で失っている見えないコスト

 昔、ある企業の役職の方が笑いながら…

 「流通でいい食卓テーブルなんて幾らでも売ってるし、簡単に宅配してくれるから便利だよ! でも…今までに何台買って入れ替えたか判らない…(笑) これまでの費用考えたら…一品物の良いものが買えたかも…ね…」

と…。 買い換えて新品気分を味わう楽しさも確かにあるかもしれません。 その間、引っ越し等もあったならば置けるスペースに合わせて…という状況にも臨機応変に対応出来たのかもしれません。

 しかし、現実的には本当にぴったりのもの…というのはオーダーメイドしか存在しませんから、僅かなスペースの無駄や、今様でベニア合板の上に見てくれの良い化粧板あるいは化粧フィルムを張り付けた様な商品が殆ど大半を占めているといっても過言はないかと思います。

 実際に…「これはいい物だから…」とか、「とある方からお祝いに…」とか仰られる家具を見ると、大抵は中子のベニヤ合板までを最低限にするために、梁部分を井桁に組んで化粧板を張っており、軽く仕上がってはおりますが部分的に押してみるとべこべこで、見た目では木製家具に見えますが、場所によってはネジ釘も効かない…なんていうことが多々有ります。

 実はこれ以上に失っているのが…「空間コスト」や「稼働/作業コスト」です。

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 これ(右写真)は古いクリニック様の一例ですが、開業祝いにと頂いた書棚(茶木目調)で足りずに、通販でカラーBax風の書棚を購入し、地震対策として突っ張り棒で固定してあるのがお判りになるかと思います。

 実はここに「空間コスト」の無駄が生じております。 本棚の縦板の二個分の板厚だけ、水平方向には無駄が…、そして耐震対策で突っ張り棒をしている部分の無駄スペースがかなりあります。

 更に、茶木目調書棚の真向かいにベッドがあり、本来そこで使うエコーの装置が書棚が有る故に、通路に邪魔にならない様な場所に都度片付けなくてはなりません。 一日数人の患者様のエコー検査を行えば、その都度に引っ張り出し、片付ける手間が生じます。 年間集計してみたら、どれだけの時間と労力が失われるでしょうか…。

 意外に、「安い!」と喜んでいる裏には…こうした日々の失っているコストが有ることを、どれだけの方が気付いておられるか少々疑問になることがあります。

多少費用が掛かっても、一度の手配で日々の安定

 このクリニックの院長先生から相談を受けて、書棚や患者様の衣類置き場、若先生が多様するエコー装置やその使用で様々必要となる用具の置き場などを考え、更に地震発生時の安全性や長くお使いになる上での様々な安全性や強度などを考え、

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  • 主要材料はパイン集成材
  • 全ての角はR加工
  • 棚板は上下位置可変構造
  • エコー装置は棚内に収納し、専用コンセントを設置
  • 地震の際の転倒防止と空間のスペース有効活用で天井までぴったり収める

等々を、事前に加工等下準備を念入りに行い、「一夜城」よろしく、診療終了後に事前準備しておいた各パーツを搬入して一晩で完成させ、診療の妨げにならないように配慮させて頂きました。 先生、職員様方は元より、長年通っておられる患者様方が明るく、お洒落になった診察室に喜んで頂けたので、苦労した甲斐が有りました。